IT重説とは?分かりやすく解説します

近年、需要の増加や技術の発達により、オンラインで物件の内見ができるようになりました。さらに、オンライン上で手続きができる「IT重説」が注目されています。しかし、実際に対面で説明をされないと不安だと感じる人も多いのではないでしょうか。本記事では、IT重説の概要やメリット・デメリット、IT重説を利用する際の流れなどをご紹介します。
IT重説とは
IT重説とは、不動産契約時に必要となる重要事項説明(重説)を、パソコンやスマホなどのIT機器を通じて実施することを指します。対面と同様に説明や質疑応答ができれば、自宅でもどこでも重説を受けることができます。
不動産は取引金額が大きいため、一つでも問題を見逃してしまうと、大きな損失が発生する可能性が考えられます。そのため、「宅地建物取引業法」という法律で、不動産売買や賃貸借契約を結ぶ際には、重要事項を丁寧に説明することが決められています。その内の一つが、「専門家である宅地建物取引士が対面で説明すること」でした。
これが2017年10月1日より、賃貸契約では遠隔で行う「IT重説」が認められるようになりました。そして、2021年4月から売買契約でも運用が可能になります。そのため、現在では、不動産取引全般でIT重説が運用可能となりました。
IT重説のメリット
ではIT重説にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、IT重説のメリットについてご紹介します。
移動時間が不要
IT重説はインターネット回線がつながっており、お互い質疑応答ができる環境であればどこでも受けることができます。店舗まで足を運ぶ必要がないため、移動時間や交通費などを節約できます。特に遠方の方は、物件や店舗に行くこと自体に負担を感じる人も多いため、IT重説が可能であれば物件選びの決め手にもなるでしょう。たとえば、遠方に住んでいる場合、内見で1回、重説のための最低2回は通う必要があります。これが、IT重説を利用すれば、最初から最後までオンラインで済ませられるようになります。
スマホなどの端末があれば利用可能
IT重説は、パソコンだけでなく、タブレットやスマホでも受けることができます。特別な機材を揃える必要もなく、手軽に受けることができます。また、持ち歩ける端末であれば、自宅でなく、外でもIT重説を受けることが可能です。
録画して保存できる
IT重説は、パソコンやスマホなどの端末を利用するため、重説中の映像を録画で残すことが可能です。重説でしっかり説明していたかどうかの証拠を残すことができるため、退去時などに「言った・言わない」でトラブルになる可能性が少なくなるでしょう。
IT重説のデメリット
メリットの多いIT重説ですが、デメリットもあります。ここでは、IT重説のデメリットについてご紹介します。
通信環境を整える必要がある
IT重説はインターネットを利用するため、通信環境を整える必要があります。そのため、通信環境が悪いと途切れてしまうことがあります。画質が悪くなったり、映像や音声が途切れてしまったりすると、円滑に重説を受けられない可能性があるでしょう。また、雑音がひどい場合は、音割れして上手く聞き取れない場合もあります。そのため、通信環境は万全にして望む必要があるでしょう。
専用ソフトをインストールする必要がある
IT重説は、パソコンやスマホなどがあれば利用できますが、Zoomなどのようなオンライン会議システムをダウンロードする必要があります。また不動産会社によっては、専用のアプリや会議システムを導入している場合があり、それに合わせてインストールや登録が必要です。普段使っていないアプリやシステムをインストールしたり、登録したりすることに抵抗を感じてしまう可能性があるでしょう。
IT重説の流れ
ここでは一般的なIT重説の流れについてご紹介します。
1.通信環境の確認をする
マイク、カメラ、スピーカーなど、IT重説に必要な環境が整っているか確認します。どんな機材が必要なのかは、不動産会社に確認しましょう。必要であれば、事前にアプリやシステムのダウンロードなどを行います。
2.書類一式が届く
重要事項説明書・賃貸借契約書などの書類が自宅に届きます。各書類には、宅地建物取引士の記名捺印が必要なので、確認しておきましょう。
3.不動産会社と接続テストを行う
映像や音声に途切れがないか、宅地建物取引士証が確認できる画質があるかなどの、確認を行います。
4.IT重説の実施
不動産会社側から宅地建物取引士証を提示されるので確認します。また、契約者側も、本人であることを証明するための、身分証などを提示します。お互いに確認したら、重説が開始されます。重説は約30~60分程度で終わります。
5.契約者が必要書類一式を返送する
IT重説が完了したら、契約者は必要書類一式を不動産会社に返送します。
6.鍵の引き渡し・入居
後日、不動産会社から鍵が送られてきたら、入居が可能になります。
まとめ
IT重説は通信環境が整っていれば、時間と場所を選ばずに重説を受けることができます。交通費や移動時間などを節約することができるなどのメリットがありますが、すべての不動産会社が対応しているわけではありません。そのため、IT重説を利用したい方は、不動産会社に確認してみましょう。